Classical Trio

「ルーツが織りなすジャズのニューフロンティア!」
〜クラシック曲を、自らがJazzアレンジした、カバーアルバム。ジャンルを越え、新たな牧山純子の世界が始まる〜

メンバー
Violin 牧山純子
Piano 原田達也
Cello 中林成爾

¥3,000

 ジャズという音楽は、例えば楽曲や楽器が同じでも、演奏家が求め表現しようとする音楽によって、奏法も音色も、いやメロディーさえも十人十色千差万別。同じ曲と思えなくて当たり前、いや、同じと思われたら“負け”というくらい恐ろしいジャンルである。作曲家の意図を的確に最上級の演奏で表現することが求められる(これはこれで恐ろしいが)クラシックとは、同じ哺乳類でもライオンとクジラくらい異なるのだ。
では、水と油、融和の余地なしかと言えば、それも違う。ほぼ100年の歴史を持つジャズは、ルーツをアフロアメリカン文化に求めるにしろ、欧州白人が大陸に持ち込んだ西洋音楽、つまりクラシックの基盤がなければ現在の発展進化はありえなかった。それは使われる楽器一つとっても一目瞭然である。遠くへ行って互いに家名を確立した親戚筋と言えば近いだろうか。このアルバムは、音楽史の系統樹における時間軸的統合の試みであり、平たく言えば、親戚の顔合わせである。

 このトリオのよってきたる所以は、牧山のセルフ・ライナー・ノートに詳しいので割愛するが、スタート時から聴いている者として言うと、最初期はジャズではなかった。牧山がジャズ風味を施したクラシックアンサンブルだった。ジャズともクラシックともその融合ともつかぬが、上等で洒落た音楽だった。ただ、牧山も中林成爾、原田達也も、このプロジェクトに大きな可能性を見たに相違ない。3人は、牧山ライナーにあるように、このトリオならではの音楽を生み出すために切磋琢磨した。リハも何度か目撃したが、クラシック的な厳しさである。そうすることで、音楽が徐々に独自の「別もの」に育っていくのを目の当たりにした。このアルバムに結実した音楽は、親戚の集いから生まれた新しい家系の誕生である。

 素材となったクラシック曲は、中学校あたりまでには誰もが耳にする超有名曲ばかりである。これまでにも、ジャズやミュージカルなどで使われ、ポピュラーの名前が付いているものもある。もし牧山が大上段に構えて系統樹の融合を唱えるのであれば、デュファイやダンスタブルはたまたライヒやグラスを題材に用いたであろう。それを敢えて有名曲にしたのは、牧山の自信の表れである。ジャズであろうがクラシックであろうが新しいスタイルであろうが“美しい音楽にならなければ演奏する意味も聴かせる理由もない”と、このトリオは高らかに宣言している。(音楽記者 川崎浩)

Produced by Junko Makiyama
Supervised by Gakuyu KAWASAKI

Recorded, Mixed and Mastered by Tetsuya Abe

Recorded at Dutch Mama Studio
Mixed, Mastered at Capa3 Studio

Photographer: Yuji Susaki
Hair & Make-up: Nobuyuki Kohgo (JANEIRO)
Stylist: Hisashi Hayashi
Dress: Adolfo Dominguez
Art work & Design: Kento Yamamoto

1バッハのメヌエット
2ダッタン人の踊り
3ハバネラ
4ラフマニノフ交響曲第2番 第3楽章
5モルダウ
6別れの曲
7リベルタンゴ
8モーツァルト ピアノソナタ第11番 第1楽章
9ビバルディ四季より 夏 第3楽章〜Summertime
10愛の挨拶
11エリーゼのために
12明るい表通りで 変奏曲